から揚げ日記

京都のデザイナーが普段食べてる美味しいもの、よいお店を紹介します。から揚げだけではなく、気になったものを書いていきます。

喜幸のぐじ皮ともろこのから揚げ

このお店のことを僕ごときが書いても良いのだろうか。まだこのお店のことを語るには人生経験もお酒の嗜みも足りないのではないだろうか。。

そんなことを考えるほど、この「喜幸」には達人が集まる。「喜ぶ」に「幸せ」と書いて「きいこ」と読む。なんと縁起の良さそうな名前だろうか。かのバッキー井上氏の著書『いっとかなあかん店 京都』(株式会社140B刊)の一番最初に紹介されるお店である。今も文人や作家、趣味人をはじめ、企業のトップから大学教授など口の肥えた各分野のスペシャリストが静かにお行儀よく、酒と旬の肴を楽しんでおられる。そう、「お行儀よく」なのである。酔った勢いで大声を出したり、騒ぐような輩は一度も見たことがない。僕も通いだして随分長くなるけれど、未だにこのお店では人生の先輩・達人の方々に学ぶ事が多い。

白木のカウンターの奥にはお稲荷さんが祀られ、反対側の端にはハエジャコや春子、鮎などが泳ぐ水槽がある。そのほとんどは、女将さんが鴨川で釣ったり網を打ったりして獲ってくるピチピチの川魚たち。そして、壁には手書きされた季節のメニューが貼ってある。大凡月ごとにそのメニューは変わる。客席の後ろには開高健氏、長嶋茂雄氏、梅原猛氏の色紙が鎮座してお店とお客さんを見守っている。

いつもより前フリが長すぎる気がするけれど、まだまだこのお店については書けそうな気がする。実は、こちらの女将さんは同じ高校の剣道部の先輩でもある。現在は二代目として忙しくお店を切り盛り、料理も担当されている。先代の親父さんがお元気な時に「お前が来るには10年早い」と僕は出禁を食らっていて、それからこうしてまた通うようになるまでに15年ほど掛かってしまった。再度顔を出したときには、もう親父さんはいらっしゃらなかったのが残念でならない。


さて、本日のから揚げは、
ぐじの皮をパリッと揚げたものともろこの唐揚げ。

「ぐじ」とは甘鯛のことで、京都ではこの名で呼ぶ。今日は「ぐじのおつくり」(お刺身のこと)をお願いしたので、そのときの余った皮を揚げた一品。自分で軽く塩を振りかけ、口に放り込むと「パリっ」とか「シャリッ」という音が鳴り、サクサクとした食感であっという間に無くなってしまう。でも決して「カリッ」ではない。僕は、この「ぐじの皮の唐揚げ」をポテトチップスの袋一杯くらいは食べてみたいと、いつも思うのである。

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ぐじ皮の唐揚げ

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ぐじのおつくり

そして、次は「もろこの唐揚げ」。「もろこ」とは、コイ科タモロコ属の淡水魚とのこと。(知らんかったw)きれいな川の上流にしかいないイメージがあるけど、鴨川にもいるとのことで、他にいる春子や鮎やハエジャコなども同じ鴨川産(たまに琵琶湖もあるそう)だけれど、どこで獲ってくるかは教えて貰えないのであるが、「遠くへ行きたい」(読売テレビ)で2度ほど映っていた気がする。
その春子は、柔らかくて白い身がホクホクしてる。これもお塩で食べると、自然を食してる気がして、「いただきます」と心から言ってしまう。

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もろこの唐揚げ

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こんな感じで元気に泳いでるのを揚げていただきます



と、他にもこのお店には沢山の「旬のもの」が揃っていて、それらを食べながらだと自然と笑顔になって会話もはずみ、お酒もより美味しいのである。嗚呼、素晴らしき哉。

しかし、世の中には知らないことがまだまだ沢山あるのだなぁ。


そして、この冬に「喜幸」で食べた「せこかに」、僕の好物の「合鴨の照り焼き」と「鰤(ぶり)のおつくり」、裏メニューの「お揚げさんの焼いたん」も写真を載っけておきます。

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鰤(ぶり)のおつくり

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合鴨の照り焼き 辛子とネギがたまらん

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せこかに

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お揚げさんの焼いたん



と言うことで、
本日のから揚げ星は

ぐじ皮のから揚げ ☆☆☆☆☆
もろこのから揚げ ☆☆☆☆☆

出た!満点!
というか、このお店は何を食ってもめっちゃ美味いんですよ。



喜幸
京都市下京区西木屋町四条下ル船頭町202
17時〜22時・月、火曜日定休

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↓  バッキー井上氏の『いっとかなあかん店 京都』の一番最初のページに「喜幸」が載ってます。他に紹介されてるお店も、さすが流石の「いっとかなあかん店」ばかり。

いっとかなあかん店 京都

いっとかなあかん店 京都

  • 作者:バッキ―井上
  • 出版社/メーカー: 140B
  • 発売日: 2018/11/01
  • メディア: 単行本